福島文二郎 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 ブラックマーケット BLACK MARKET.

福島文二郎 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方

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(2011/5/21 19:40時点)

 
【ジャンル】 自己啓発
【題名】 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方
【著者】 福島文二郎
【発売日】 2010年11月25日
【出版社】 中経出版
【ページ数】 207ページ

総評

『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』は、2010年11月25日の第一刷から、まだ半年も経っていない2011年4月23日、早くも17回目の増刷を果たした。まさにロングセラー必至の作品といえる。

本書は、ディズニーのスタッフをどのようにして育てているかを赤裸々に明かした人材育成のメソッド本で、アルバイトに限らず、あらゆる人材を育てる上で勉強になるノウハウが詰め込まれた内容となっていた。

私が本書に手を伸ばしたのは、タイトルの“9割がバイト”に驚かされたからだ。

さて、あなたは過去にこんな経験をした事はないだろうか。
とある近所のスーパーで、欲しい商品の場所を知りたくて店員にその場所を尋ねる。
店員は「こっちは他の作業で忙しいのに!自分で探してくれよ!」と言わんばかりの態度で嫌々対応。
そんなふてぶてしい店員の態度に、あなたの気分はすこぶる害されたはずだ。
しかし、あなたは決して失望してはいけない。その店員は所詮アルバイト。
1時間800円のお小遣いのためだけにその場所にいる単なるアルバイトなのだ。

しかし一方で、東京ディズニーランドで活躍するスタッフのほとんども、あなたの気分を害したスーパーの店員と同じ“アルバイト”だというから驚きだ。

東京ディズニーランドのスタッフは本当に良くできている。
アトラクションのナビゲーター、ショップの店員から清掃員まで、皆がいつも笑顔を絶やさず、困っているゲスト(お客様)を見つけたら優しく声をかけている。
時給のためだけではなく誠心誠意を込めて仕事に取り組み、徹底した気配りができている。

さて、前者と後者、一体どこが違うのか・・・
それは、疑う余地もなく教育している上司や先輩の質が違う。

ここで、本書の内容の一部を要約して紹介したい。
パーク内でゴミ拾いをしているスタッフが、ゲストから「何をしているの?」と聞かれて、こう答えたそうだ。
「皆さん楽しい思い出をたくさんつくってらっしゃいますよね。実は、私は、パークに落ちている“思い出のかけら”(=ゴミ)を拾ってるんですよ。」
すばらしい答え方である。

しかし、ディズニーでは今挙げたような具体的な答え方を指導しているわけではないそうだ。
“全てのゲスト(お客様)にハピネスを提供する”というミッションをスタッフに対して明確にしているだけ。
ミッションとは、その組織が目指すべき方向性の事である。
前述したゴミ拾いのスタッフはそのミッションを正確に理解し、自分のフィルターを通して行動に移したのだ。

― パーク内に出るゴミは全てゲスト(お客様)が出すモノ。
― それをそのまま“ゴミ”と表現してはゲスト(お客様)に失礼。
― なんとかハピネスを提供できる答え方はないだろうか・・・
― ゴミを“思い出のかけら”と表現すれば、それを拾っている私も思い出を分けてもらっているという前向きな解釈になるのでは・・・

すばらしい考え方である。
どうすれば、こんなすばらしいスタッフが育つのだろうか・・・
本書は、後輩を育てる上司・先輩という立場に立っている方に是非読んで頂きたい作品である。
あなたは、自分が育てるべき後輩に思いやりを持っていますか?
あなたは、自らの仕事の不出来を棚に上げて、後輩を一方的にしかりつけていないですか?

著者は福島文二郎氏。
東京ディズニーランドがオープンした1983年に第一期の正社員としてオリエンタルランド(東京ディズニーリゾートを経営・運営する企業)に入社し、これまでにディズニーの研修プログラムを100以上開発した人物。
いわば、現在ディズニーで行われているスタッフ育成の礎を築いた人物のひとりである。
(記事更新:2011年5月22日)


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